技術者のための熱処理講座<動画バージョン>
本稿の目標 熱処理の世界をイメージできるようになろう!
鉄の熱処理というのは、機械設計・製作に携わる技術者にとって身近でありながら、体系的に理解するのが非常に難しい技術分野です。その原因として、筆者は大きく3つのことがあると考えています。
- ほぼすべてが目に見えないところで進行する。(そしてそれを検証するのも難しい…)
- 一つの現象に関与するパラメータが多い。(そして制御できないパラメータも多い…)
- 熱処理のメカニズムとイメージについての情報不足から、技術者が自分の中で知識と経験を結びつけるのが難しくなっている。
1と2については自然現象ですのでどうしようもない部分が多いのですが、3については適切に伝えることさえできれば解決を図ることは可能です。
そのため本シリーズでは、熱処理を理解するために必要となるメカニズムやイメージについて、基本的な熱処理知識の解説を交えつつ話しています。要所をイメージとして把握することで、これまでの知識と経験を結びつけることはもちろん、不測の事態に対する対応力の向上につなげていただければという思いです。
これらを知れば、熱処理の全体像把握にぐんと近づけます。ぜひ参考にしてみてください。
youtubeのチャンネル登録もぜひよろしくお願いいたします!^^
ディスカッション
コメント一覧
とてもわかりやすい説明です、投稿ありがとうございます。私は社内での講習を依頼されており、その説明の参考になります。
私は熱処理を15年携わっており、熱処理技能士ではあるものの、研究をやっている訳では無いので(品質条件出しで様々な調整はしています)、こちらの動画で熱処理を再認識出来ました。
引き続き、新しいアップデートを楽しみにしております。
ご視聴&コメント、大変ありがとうございました。
少しでもお役に立てたようでしたら、嬉しく思います^^
まだまだ解説したい内容があり、引き続き投稿してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
動画配信ありがとうございます!
私からも動画のネタとして提案させてください。結晶粒度についてです。
結晶粒が大きいほど焼入れ性が良い(マルテンサイトになりやすい)が良いと思いますが、結晶粒度が小さい方が焼入れ性が良くないが、歪みは小さくなると思います。これは結晶粒内で転位が収まるため、焼入れによる変形は粒内で留まるため?と思っていますが認識はあっているでしょうか。また、粒度の大小が焼入れ性に影響を与えるのはなぜか。
過去にアルミナが材料に入りすぎて(0.030くらい)、結晶粒の成長抑制が効きすぎて全然硬くなり難くなってしまったことがありました。結局、Crを微量添加することで解決しましたが、なぜ結晶粒が微細だと硬くなりにくいのか。粒度と焼入れ性の関係の参考資料があれば紹介頂きたいです。
加工履歴(塑性加工や前熱処理の回数)によって、結晶粒度が粗大化傾向にどんどんなると思います。
しかし、調質を行うことで結晶粒が微細化する、という資料にありました。旧オーステナイト結晶粒は加工履歴により粗大傾向にあると思うのですが、調質で微細化できるのか?疑問です。フェライト+パーライト組織に比べればソルバイトなので比較的微細ではあると思います。
トライで何度も調質することがたまにあるのですが(製品使用しない)、かなり歪み変形するので疑問です。
長文すみません、もうひとつ。合金鋼(例えばSCr420、SCM420など)の状態図や、冷却曲線図などあるのでしょうか。
どうぞ宜しくお願いします!